ちょっと前のHot Wiredで、The WIRED CD | Creative Commonsに参加したことについての小山田圭吾さんのインタビューを読み返して、ちょっと思ったこと。純粋につくった音楽をリスナーに届ける、という意味では、「アルバムであることの制約」も実は大きいのではないかと。
インタビューのなかで小山田さんは、「P2Pファイル交換は、CDで手に入らないものもあるけれど、ダウンロードできない場合もあって、結構面倒くさい」、「輸入版CD規制問題もビジネス問題うんぬんよりも、日本で手に入る音楽が少なくなることが大問題」だから「商用でもっと便利なものがあればユーザはついてくるのではないか?」という意見のあとで、
そういったサービスが出た場合、ご自身の作品を配信することは考えていますか? またパッケージから離れることで楽曲の形態もいろいろと変化するのかな、と思うんですが。
そうですね。(配信は)十分考えられると思います。多分、これからはそっちが増えていくことになると思うし。そうなるとアルバムっていう概念は難しくなるでしょうね、きっと。リスニング環境もアルバム1枚を通して聴くというより、iTunesとかを使って、ライブラリの曲をランダムに聴くことも多くなるだろうし。パッケージングの工程がなくなることで、作品ができたらすぐに配信することも可能になる。そういう楽曲の発表の仕方も出てくるでしょうね。ただまあ、しばらくはパッケージがなくなるとは思わないです。やっぱりアルバムみたいに何曲かを通して、その時間軸の中で聴くっていうこともなくなるとは思えない。それはそれですごく面白い音楽の楽しみ方だと思うんですよ。
時間軸という単語。ここでは一つのアルバム内での時間軸を指し示しているけど、もっと大きく括ると、一人のアーティストという時間軸もありますね。
期間内に一つのアルバムを仕上げてリリースしなければいけない、というプレッシャーから開放されると、もっとリアルタイムな音楽がでてくるのかも。その時の世の中の雰囲気とか、あるいはもっとパーソナルに受けた刺激から即興に書き上げた音楽を、つくったその日に聞けたら、今のアーティスト→レーベル→パッケージ→リスナーという関係とは違う音楽的な関係性が築けそう。
音楽って、非常にエモーショナルなメディアだと思うので、もっとアドホックに、On the Flyでアーティストから直接リスナーの感覚に届いてもいいのでは。
音楽を好きな人って、そういうことを音楽に求めている人が多いと思うんですよ。根本的に規制みたいなものとは相容れないところがあるんですよね。きっと。そこを突き破って出てくるものに対して、喜びを感じる部分っていうのがきっと多いと思うんですよね。
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