FireFox 1.0がリリースされましたね!高速レンダリングとカスタマイズ性の高さが魅力で、ちょっと色々と使ってみようと思いますが、今日はちょっと違う側面のエントリー。FireFox 1.0のリリースのタイミングで、寄付で集まった25万ドルを使い、米大手新聞New York Timesに全面広告が掲載されたそう。
政治的な意見広告を、寄付を集めて掲載するという例は聞きますが、無料で使えるソフトウェア製品の広告というのはかなり珍しいですよね。オープンソース精神の意見広告という意味もあるのかもしれませんが、「広告とは、モノを消費者に売るための手段」という一般的な意味合いとは、かなり性質が異なると思います。
米Mozilla Foundationは11月9日(現地時間),オープンソースWebブラウザ「Firefox 1.0」を正式リリースした。Windows,MacOS,Linux向けに,日本語版を含む14カ国語が同時にリリースされている。
10月27日に公開されたリリース候補版は,すでに約800万件ダウンロードされた。米大手新聞New York Timesに,リリースを告知する全面広告が掲載するために,有志による25万ドルにのぼる寄付が集まった。
そして、もう一つの話題のプロダクト、iPod Photoのリリースにあわせて、大々的に行われているU2とのコラボ・プロモーションも、なんとU2は無料で協力しているとのこと。 iTunes Music Storeでは2分のロング・バージョンのプロモ・ビデオを見ることもできます。
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U2は最大3,000万ドルのCM出演料を提示されたこともあるが、これまですべてのCM出演依頼を断ってきたという。そんなU2が今回、iPodのコラボレーションモデルを発売し、テレビCMにまで出演したのは、「アップルおよびiPodのテクノロジーがU2の音楽感性とマッチし、iPodがデジタルミュージックの世界をリードしていくと確信している」(U2)と説明した。しかも、U2のCM出演料はなんと“無料”というから驚きだ。この点からもU2のメンバーが、iPodをかなり気に入っていることが伺える。
3000万ドルでも気に入らなければ出ない、その代わり気に入ったら無料で協力。これだけだったら、さすがU2、ビックだぜ!と言う感じですが、FireFoxのボランティア・キャンペーンとあわせて考えると、ちょっと違う世界が見えてきます。
「好きなモノは、時間やお金をかけてでも他の人に勧めたい」
このモチベーションは実はブログを書いている人は、みんな感じていることではないでしょうか。例えば、読んで感動した本について、時間をかけて感想を書いた場合。Amazonなどのアフィリエイトが多少は収入になるけれど、時給換算だけで考えると、さほど割りに合うものでもないですよね。
逆に言うと、感想の書き手の感動が伝わってくる文章は、この新しいボランタリーな広告に近くて、ただ単にアフィリエイト目的のようなエントリーは、どちらかというと既存の押し付けがましい広告に近いのかも。
そして、ブログとしてどちらが読まれるかといえば、言わずもがなの前者でしょう。
渡辺聡さんの記事で、ブログの「トピックが自然淘汰されて生き残っていくプロセス」という表現がありましたが、情報の蓄積というだけでなく、実際の商品の購買行動においても「意見交換してみる価値がある」商品が、自然淘汰を生き残っていくのかも。
ニュース情報の初出から普及プロセスはネットワーク上の主にBlogで引用され、RSSが吐かれることで読者の目に届いていく。Blog経由の場合、多くはコメント付きなため、一次情報+評価情報がセットとなる。その後、時間の経過とともに”Tail”の部分でトピックの議論は深められる。
(中略)
ニュースが出現してから、「これはやり取りをして意見交換してみる価値がある」というトピックが自然淘汰されて生き残っていくプロセスとなる。
ここでの「生き残る」という意味合いは、いわゆる大ヒット商品というだけではなくて、多様性という方向にも展開するのだと思います。自然淘汰の結果、地球上の種が一種類になったわけではなく、多様性を持った生態系を築くことで、一種類のウイルスや災害などで絶滅しない耐性を獲得するように、細分化された進化がどんどん加速するのではないでしょうか。
ネットツールの進化によって、人々は今までより沢山の情報を格段に低いコストで手に入れる術を持つようになりました。その力は、好きでもない「時事ネタ」の収集強化に充てられることは有り得ません。従って、一般人が各々の趣味のチャネルに向かってマニア化する度合いは、間違いなく高まるのです。
多様性を増す趣味のチャネル。柔軟で迅速な商品開発、趣味性が高いからおこりえるボランタリーなプロモーション。まだまだ漠然として見えていないのですが、「新しい価値の創造」という意味で、情報とソフトウェア、そしてハードウェアが相互に結びつく割合が非常に高まっているは確かに思えます。
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