なんだかdel.icio.usづいている昨今ですが、同じくGenさんから教えてもらった、del.icio.usとFlickrに関する論文。
Folksonomies - Cooperative Classification and Communication Through Shared Metadata
Folksonomyとは、Folks(皆の)taxonomy(分類学)という二つの言葉を組み合わせた造語。理解の範囲で意訳すると、
- 階層構造を持たない、完全にフラットなネームスペース。XMLでおなじみの、Parent(親)・Child(子)・Siblingといった構造を持たない情報アーキテクチャ
- あるコンテンツ(WEBページや写真)が共有している、タグ(Tag)情報によって「関係性」が生まれる
- Taxonomy(分類学)は、あらかじめ個々の単語に決められた意味を定義するが、Folksonomyでは、あるコンテンツに関係する単語のみをグループ化する
- したがって、単語同士の関連性の高さは、コンテンツごとに異なるし、さらには時がたてばどんどん変わっていく
- タグ付けするのは、コンテンツ制作者や、それを管理する人ではなく、実際にコンテンツを見たり、利用するユーザー
- タグ情報をコミュニティーで共有すると、フィルターという単語が「コーヒーのフィルターから、スパムフィルターまで」幅広い意味を持ってしまい、またAppleとmacといった類義語も判別できないが、逆に思わぬものを偶然に発見すること(serendipity)はある
- 基本的にはChaotic(無秩序)でOrganic(有機的)な構造だが、逆にユーザーは自分ならではの方法を発見しながら、自分の手によって情報を整理することができる
この特性によって、どんどん情報が更新されるWWWの世界でも、その時々で最も望ましい情報の取得パスを提供することができるのではないか、というのが趣旨のようです。
「分類するための単語の定義」に、多大な時間をかけて議論するぐらいなら、多少曖昧でもいいから、実際のモノにタグをどんどんつけていって、そのタグを経由して新しい情報が見つかる方がハッピーじゃない?という割り切りが一つのポイントなのでしょうか。もともと「意味」は主観であって流動的なんだよ世の中は、という開き直り?
インターネットもブログもdeliciousも、あくまでも皆が使うツールなわけですし、ツールはシンプルで、多少の曖昧さがあったほうが、新しい使い方、イノベーションを誘発しやすいということもあるのかもしれません。
A folksonomy represents simultaneously some of the best and worst in the organization of information. Its uncontrolled nature is fundamentally chaotic, suffers from problems of imprecision and ambiguity that well developed controlled vocabularies and name authorities effectively ameliorate. Conversely, systems employing free-form tagging that are encouraging users to organize information in their own ways are supremely responsive to user needs and vocabularies, and involve the users of information actively in the organizational system. Overall, transforming the creation of explicit metadata for resources from an isolated, professional activity into a shared, communicative activity by users is an important development that should be explored and considered for future systems development.
Folksonomies - Cooperative Classification and Communication Through Shared Metadata
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Wiredで掲載されていた、Wikipediaの記事を最近読んで考えていたこととちょっと似てますね。「ツールはシンプルで、多少の曖昧さが」というのはやはり肝だと思います。
普及しているツールって結局シンプルに仕上がっていることが多いですよね。
投稿情報: SW | 2005年1 月15日 (土) 10:08
Wikipediaもかなり面白いですね。知識が蓄積されていく様が目に見えるようで。
こういった、コミュニティーの知識がTagでどんどんつながるようになってくるのかな、という気がします。
投稿情報: Jun Kaneko | 2005年1 月18日 (火) 23:49